ベネズエラは南アメリカの北部に位置する国で、カリブ海・大西洋に面しています。正式名称を「ベネズエラ・ボリバル共和国」といい、首都はカラカスです。ブラジル・コロンビア・ガイアナと国境を接し、南アメリカの中でも自然豊かな国とされています。
また、首都カラカスは人口290万人で、南米でも有数の大都市です。スペイン人が17世紀に入植して作られた都市で、現在は5つの市から形成されています。
一方で、ベネズエラは危険な国で治安が世界最悪と言われています。特に首都であるカラカスの治安は年々悪化していて、凶悪犯罪が多発しています。
本記事では、ベネズエラの治安が悪い原因や首都カラカスの治安状況などをお伝えします。もし、なにかの理由で訪問しなければならない人は、参考にしてみてください。
※本コンテンツ内で紹介するサービスの一部または全部に広告が含まれています(PR)
ベネズエラの経済危機による治安悪化
ベネズエラは1914年に世界最大級の原油が発見されたことで、農業国から豊かな資源国へと生まれ変わりました。
当時は、資源が豊富な国として中南米で最も豊かな国はベネズエラと言われていた時期です。そのベネズエラが世界で最悪の治安になった原因は、原油価格の大暴落にあります。
オイルマネーに頼りすぎた結果、国内産業が発達せず、2014年に原油価格が大暴落すると経済が一挙に悪化しました。政府は経済の危機的状況から抜け出そうと紙幣を大量に発行し、それによってインフレが引き起こされます。
なんと、インフレ率は100万%にもなったと言われています。つまり、紙幣は紙くず同然となり、たった一つの物を買うのにも大量の札束が必要となったのです。
ベネズエラの治安が悪い原因
現在も、ベネズエラの治安は悪化の一途をたどっていて、治安レベルが世界でワースト1~2位を争っているとされます。その原因には、経済状況が悪く失業者や貧困者が増加しているためです。
世界経済フォーラムが2018年に発表した報告書によると、ベネズエラの治安は世界最悪レベルで、ワースト1位のエルサルバドルに次いで、ワースト2位とされています。
殺人事件の発生率は世界でワースト1~2位と高く、東京の100倍を超えています。
ベネズエラの物価は安いですが、国民の収入が少ないためモノを買うことができず、生活は厳しいのが現状です。食糧不足が続き、経済危機が起こっています。それによってデモや暴動が多発しており、政府がコントロールできない状態になっているのです。
首都カラカスでは身代金目的の誘拐が多発しており、その多くが拳銃など武器を使用したものとされています。警察は機能しておらず、街は危険で旅行者は決して一人では歩いては行けないといわれています。
中でも経済の中心であるチャカオ市の治安が最悪と言われています。
ベネズエラの空港の治安
首都カラカスの空港の治安について気になる人もいるはず。まず、主要な空港は「マイケティア国際空港」という空港がカラカスの玄関口となる空港です。こちらの空港でも犯罪が多発しています。
トランジットエリアでは荷物の置き引きが多く発生しており、中でも飛行機の発着が多い午前中に多く事件が起こっているそうです。
El #14Jul compartí un vídeo mostrando la enorme cantidad de personas por viajar en el Aeropuerto Internacional de Maiquetía.
— ✽ Orlenys Ortiz 🍁🍃 (@OrlenysOV) July 30, 2019
Muchos dijeron que era el pueblo huyendo del rrrrégimen de Maduro.
Bien, estas fotos las tomé LLEGANDO a #Venezuela, en Migración.
¿Qué dicen ahora? https://t.co/JAhAbRAvvJ pic.twitter.com/eKtJCjcnlx
飛行機に預けた荷物が開錠されたり、荷物の中のモノが盗まれる事件や、入国管理業務を行う兵士が旅行者を恐喝し金品を奪う事件も起こっています。
また国内線ターミナルでは発砲事件が起こっています。カラカスの国際空港をはじめ、ベネズエラの国内線は遅延することが多くあります。特に目的地に夜遅く到着するような場合は注意が必要です。
ベネズエラが危険な国といえる理由
ベネズエラの危険度をポイントごとに絞って解説していきます。
ベネズエラはデモや暴動が多発する
ベネズエラは経済の悪化が原因で、国民の怒りの矛先が政府に向けられます。ベネズエラの首都カラカスではデモや暴動が多発し、多くの死者が出ました。食糧不足は最悪となり、国民の大半が栄養失調の状態にあると言われています。
失業者や貧困者が増えるにつれ治安も悪化しました。それが原因で、多くのベネズエラ人が国を離れるそうです。特に高学歴の人や裕福層が多く海外に脱出したため、国の治安や経済はさらに悪くなりました。
中でも医療関係の悪化は著しく、医師不足は深刻です。ベネズエラでは医師だけではなく医薬品も不足しており、病気になったらかなりヤバい国だといえます。結果として、政情不安の国になり、ハイパーインフレが起こります。かつては美しかった国に訪れる旅行者はほとんどいません。
ベネズエラは銃社会
治安悪化が原因で、ベネズエラは銃社会となってしまいました。ベネズエラでは銃器の所有は許可制なのですが、実際は違法に入手された銃器が多く出回っています。
政府は市中に出回っている銃の数を減らそうと様々な政策を打ち立てていますが、治安が悪いことが原因で銃の流通はストップがかかりません。
首都カラカスでは犯罪者が銃を持っていることが多く、警察との撃ち合いも多く起こっています。一般市民が巻き添えに合うことが多く注意が必要です。
ベネズエラのテロ・ゲリラ
ベネズエラでは治安の悪化が原因で銃器が大量に市中に出回っています。武器の保有数は世界の国々の中でも上位に位置しています。ベネズエラと隣接するブラジルやコロンビアで活動している犯罪組織は、ベネズエラへの武器の密輸を積極的に行っていると言われています。
ベネズエラのウゴ・チャベス前大統領と、その後任のニコラス・マドゥロ現大統領は、大量の武器をロシアなどから購入し、こうしたゲリラ組織に積極的に与えているとも言われています。
ベネズエラのゲリラ組織は、このようにして入手した武器を使用してテロをや強盗、身代金誘拐などの犯罪を行っており、常に危険が伴っています。
ベネズエラの爆弾事件
ベネズエラでは爆弾事件もいくつか起こっています。2018年8月、ドローンを使ってマドゥロ現大統領に対する暗殺未遂事件がありました。市販のドローンに爆弾を仕掛けた初めての爆弾事件として、世界中で報道されました。
計画したのは反政府主義のゲリラ組織でした。この日、マドゥロ大統領がカラカスで開催されていた軍事パレードで演説していると、突然、2基のドローンが頭上で爆発し、爆音が鳴り響きました。
マドゥロ大統領にケガはありませんでしたが、国家警備隊の隊員7人が負傷しました。この爆弾事件で数10人が逮捕されましたが、容疑者の一部は現在も逃走中とのことです。
ベネズエラの薬物事件
治安が最悪な状態にあるベネズエラでは、薬物事件も多く起こっています。米司法省は、マドゥロ大統領が麻薬テロや麻薬密輸に関わっているとして起訴したというニュースも伝わっており、薬物事件は深刻化しています。
ゲリラ組織が麻薬を所持しているケースも多く、一般市民が闘争に巻き込まれるケースが多発しています。ベネズエラでは旅行者がそうした薬物事件に巻き込まれることもあります。もしベネズエラを訪れるのであれば、薬物に関しての注意が必要です。
ベネズエラに行く場合の注意点
ベネズエラへ観光で訪れる人はいないと思いますが、もし観光で訪れる場合の注意点をいくつかお伝えします。
タクシーも危険
マイケティア国際空港から市内へタクシーで移動する際も危険が伴うので注意が必要です。空港と市内の間にある高速道路では、タクシーを強制的に停めて金品を強奪する被害が多発しています。
またタクシーの運転手が拳銃を使って脅し、客の金品を奪うケースも多く起こっています。マイケティア国際空港など、空港からのタクシーでもこのような事件が起こっているので注意が必要です。空港からはタクシーを利用せず、知人などに送迎を頼むのがおすすめです。
旅行制限地域
ベネズエラでは一般の旅行者が立ち入ることができない旅行制限地域あります。アマゾンの原住民居住地区やロライマ山は旅行制限地域となっているので注意してください。また油田など許可が必要な地域もありますので、現地で最新の情報を入手するようにしてください。
旅行制限地域と同時に注意しなくてはいけない点は、写真撮影です。ベネズエラでは、軍施設や大統領官邸、銀行など写真撮影が禁止されている建物や場所がありますので、こちらも現地の情報に詳しいエージェントなどに確認するようにしてください。
在留届・たびレジ
外務省の海外安全ホームページの旅行制限地域の情報では、ベネズエラは、全土にレベル1「十分注意してください」とレベル2「不要不急の渡航は避けてください」という注意情報が出ています。
特に首都カラカスやその周辺にはレベル2「不要不急の渡航は避けてください」という注意情報が出ていますので、観光で訪れることは控えるようにしてください。
尚、3か月未満の短期渡航者は、外務省の「たびレジ」の登録が求められています。また3か月以上滞する人は、在ベネズエラ日本国大使館に在留届を提出する必要があります。
旅券・身分証明書の携帯義務
ベネズエラではパスポートなど旅券・身分証明書の携帯義務があります。警官の職務質問を受けた際に、これらの証明書を提出できないと警察へ連行されることがあります。
また最近は旅券・身分証明書が不携帯の際、賄賂を要求する警官も増えていますので、危険な状況に陥らないよう注意が必要です。
荷物の取り扱い方
ベネズエラでは出入国の際の荷物検査は国家警備軍が行っており、他の国よりも厳しい傾向があります。できるだけ怪しまれるような荷物は持ち込まないほうが安全です。
検査の際に賄賂を要求することもありますので、そのような時は毅然とした態度を取り、他の職員を呼ぶなどし複数の人数で話し合い、説明を要求するようにしてください。
またマイケティア国際空港では出迎えスペースを出たところにポーターが待ち構えていて、荷物を奪い合うようにして車のところまで運び、法外なチップを要求することがよくあります。ポーターが不要であれば、最初からはっきりと断るように注意してください。
ベネズエラは危険な国なので気をつけましょう!
ここまでベネズエラという国について解説致しました。
繰り返しますが、カラカスでは治安が最悪な状態にあり、以前は安全とされた地域でも危険が高くなっています。夜間だけでははなく、日中も路上で恐喝や強盗、誘拐などの凶悪な事件が多発しています。
カラカスでは米ドルでの取引が可能になり、米ドルや米ドル以外の外貨を持っている外国人が狙われるケースが多くあります。特に日本人は多額のお金を所持しているというイメージがあり、狙われやすくなっています。
市内では路線バス、地下鉄駅構内、路上などでスリが多く起こっているので注意してください。また地下鉄車内でもスリや強盗が起こっているので、できるだけ公共交通機関を利用しないようにしてください。